本田真凜や日本女子の打倒メドベージェワは220点超が条件か?
オリンピックシーズンのチャレンジャー戦が続々と始まっています。
今季は例年に比べ1週遅れの開始となりました。
第4戦までは日にちをずらして週に2戦行われたため、フィギュアスケートファンの方にとっては忙しい2週間となったのではないでしょうか?
本郷理華 オンドレイネペラ杯 FS動画
FS 000.00 トータル 189.98
メドベージェワ オンドレイネペラ杯 FS動画
FS 000.00 トータル 226.72
220点越えを目指して!絶対的女王に挑む日本女子
チャレンジャー戦を振り返って
12月まで開催されるチャレンジャーシリーズですが、グランプリシリーズにエントリーしている選手は、9月から10月初旬までのチャレンジャー戦に出場してきます。
ここでグランプリシリーズ本番に向けての調整やプログラム戦略などを考慮するのですが、今季はオリンピックシーズンということもあり、すでに本格シーズンさながらの盛り上がりを見せています。
ではここで、チャレンジャーシリーズ4戦に出場した女子シングル選手たちの活躍を振り返ってみましょう。
酸欠でも優勝 本田真凜選手
シニア転向前から何かと話題に事欠かない本田真凜選手。
「USインターナショナルクラシック」に出場し、ショートプログラム1位、フリースケーティング1位で総合1位。
本田真凜USインターナショナルクラシック2017 FS動画
見事な完全優勝で鮮烈シニアデビューを飾っています。
ホテルに衣装を忘れるというアクシデントにも関わらず、ショートをノーミスできっちり決めてくるあたりかなりの度胸の持ち主です。
フリーでは後半にジャンプが乱れスピードが落ちるなどしたため、200点には届きませんでした。
会場が標高1300メートルという高地だったため、フリー演技後は動けなくほどの酸欠状態でした。
そんな過酷な状況での金メダル獲得に、本人も手ごたえを掴んだのではないでしょうか。
シニアに上がるまで温めていたという、オリンピックシーズンの勝負プログラムのタンゴをあっさり変更してしまうあたり、本当に底知れない大物感が漂います。
攻めのジャンプ構成 坂本花織選手
本田真凜選手同様に今季からシニア参戦の坂本花織選手も、「USインターナショナルクラシック」に出場し4位となっています。
あと一歩で表彰台だっただけにショートでのミスが悔やまれますが、全てのジャンプをプログラムの後半に組み込んだ攻めの構成ですから、リスクが大きくなるのは仕方ありません。
シーズン序盤でのプログラム変更のため、まだまだ滑り込みが足りていない様子でした。
やはり高地が響いたのか、演技後半にはかなり疲れが見えジャンプが乱れました。
しかしフリー冒頭の3回転連続ジャンプは本当にダイナミックで、日本女子選手の中では群を抜いた迫力があります。
思うような演技はできなかったかもしれませんが、まだまだ伸びしろたっぷり!
今後に期待です。
初戦で自己ベスト更新 樋口新葉選手
「USインターナショナルクラシック」と同週に開催された「ロンバルディアトロフィー」。
シニア2年目、今季海外初戦となった樋口新葉選手が出場しました。
ノーミスとなったショートプログラムでは、スピン、ステップ全てレベル4を獲得。
74.26点の自己ベストで1位発進となりました。
すでにハマリプロ!と話題のフリープログラム「007〜スカイフォール」で見事な演技を披露しますが、ロシアのアリーナ・ザキトワ選手に0.83点及ばず2位となりました。
しかし海外初戦から、ショート、フリーともにジャンプが全て入っているあたり仕上がりの高さを感じさせます。
注目はPCSの評価が高いことです。
「IN(音楽の解釈)」では、9点台を出しているジャッジもおり、これは本人にとっても大きな自信となったのではないでしょうか。
エッジエラーで伸び悩む 三原舞依選手
三原舞依 オータムクラシック2017 FS動画
FS 000.00 トータル 199.02 2位
続く第3戦「オータムクラッシク2017」には、昨シーズン大躍進を遂げた三原舞依選手が登場しました。
ショートプログラムではノーミスと思いきや、3回転フリップにエッジエラーがつき思うように得点が伸びず66.18点、2位スタートとなりました。
フリースケーティングでは、最後の3回転サルコウが2回転になるもほぼクリーンな演技。
が、またしてもショート同様に3回転フリップにエッジエラーがつき132.84点と伸び悩み、総合で2位となりました。
メリハリのある滑らかかで伸びやかなスケーティング、抜群のバランス力で難しい上半身の動きも実に優雅にこなし、「音楽に合ったコレオグラフィー」と解説者からも絶賛されますがなかなか厳しいジャッジでした。
しかしいつもPCSにも厳しめなカナダでの大会で、8点台は上々の得点です。
初戦で課題が見つかったことは、それを改善する時間もたっぷりあるということです。
オリンピック出場をかけた熾烈な日本での国内戦を考えると、ジャンプにつくエッジエラーは早々にクリアしたいもの。
まずは次戦のジャンパンオープン目指して頑張ってほしいです。
圧巻のレベル4獲得 本郷理華選手
現世界女王のロシア、エフゲニア・メドベージェワ選手が出場した「オンドレイ・ネペラメモリアル」。
日本からは本郷理華選手が出場し、エフゲニア・メドベージェワ選手に次いで2位となりました。
この負け知らずの女王は置いておき、ショート2位、フリー2位の総合2位は、昨シーズンの不振を考えると完全復活を予感させるものでした。
ステップ・スピンはショート、フリーともに圧巻!気迫を感じさせます。
全てレベル4を獲得したステップ・スピンでは、GOE評価も高く大幅な加点となっています。
ジャンプは回転不足と転倒があるものの、昨季苦しんだ3回転ルッツにはアテンション(!)も無く加点が付いています。
怪我を押して試合に出場し続けた昨シーズン、本郷理華選手が多くを語ることはありませんでしたが、どれだけの努力をしてきたかは、このプロトコルを見れば一目瞭然です。
初戦はNHK杯の宮原知子選手 デビュー戦はフィン杯 白岩優奈選手
左股関節の疲労骨折から今季復活に向け、オフシーズンはアイスショーにも出演していた宮原知子選手でしたが、左足の捻挫による調整不足から、復帰戦に予定していた「フィンランディア杯」を欠場することになりました。
チャレンジャーシリーズには出場せず、今季初戦は「グランプリシリーズNHK杯」となる予定です。
本田真凜選手、坂本花織選手とともに、今季からシニアに移行の白岩優奈選手は、「ネーベルホルン杯」を予定していましたが、「フィンランディア杯」へスライド出場することになりました。
現時点ではまだ今季初戦に出場していない宮原知子選手、白岩優奈選手ですが、本田真凜選手、坂本花織選手、樋口新葉選手、三原舞依選手、本郷理華選手とともに、今シーズンの有力選手です。
オリンピックの切符は誰の手に?
宮原知子選手の調整具合が気になるところではありますが、依然オリンピック出場の有力候補には違いありません。
安定感の宮原知子選手、三原舞依選手。
爆発力を持つ樋口新葉選手に本郷理華選手。
そして今季シニア参戦の、本田真凜選手、坂本花織選手、白岩優奈選手の未知なる力も非常に魅力です。
一体誰が2018平昌五輪出場の切符を手にするのか、ちょっと予想がつきませんね。
絶対的女王 エフゲニア・メドベージェワ選手
絶対的な世界女王として、2018平昌五輪の金メダル最有力候補に挙げられているエフゲニア・メドベージェワ選手。
今季初戦となる「オンドレイ・ネペラメモリアル」では、ショート80.00点、フリー146.72点、総合226.72点で優勝しています。
向かうところ敵無しといったところですね。
もちろん本番のオリンピックでは何が起こるかわかりませんが、今シーズン果たしてこの絶対的女王に対抗できる選手はいるのでしょうか?
対抗はアリーナ・ザキトワ選手と本田真凜選手?
米テレビ局では、2018平昌五輪の金メダル最大の競走相手として、シニアではまだトップレベルの大会に出場していないロシアのアリーナ・ザキトワ選手と日本の本田真凜選手の名前を挙げています。
つまりシニア選手ではすでに勝負はついている、未知なる力に期待、といったところでしょうか?
チャレンジャーシリーズのスコアだけで見ると、エフゲニア・メドベージェワ選手に対抗できるのはアリーナ・ザキトワ選手くらいです。
ショートプログラムでミスのあった「ロンバルディアトロフィー」で218.46点というスコアですから、ミスしなければ間違いなく220点超えしていていたはずです。
しかし、条件がそれぞれ違う大会のスコアを比べて結論付けるのも難しいところではあります。
220点越えが最低条件?
女子シングルの世界歴代最高得点はショート80.85点、フリー160.46点、総合241.31点です。
これは4月に行われた国別対抗選手権で、エフゲニア・メドベージェワ選手が叩き出したものです。
それまでの記録はバンクーバー五輪でのキム・ヨナさんが持っていた228.56点だったので、この241.31点がどれほど途方の無い銀河点だったかがわかります。
ちなみにソチ五輪でロシアのアデリナ・ソトニコワ選手が、224.59点で金メダルを獲得しています。
日本歴代最高得点は、宮原知子選手が持つ218.33点です。
優勝するには最低条件としても220点を超えが必要となるでしょう。
めったにミスをしないエフゲニア・メドベージェワ選手。
日本選手にとっては、現時点ではなかなか厳しい条件ですね。
しかし、何が起こるかわからないのがオリンピックシーズンです。
シーズン途中に飛躍的にパーソナルベストを更新する選手が出てくる可能性だってあります。
チャレンジャー戦を終え、選手たちはそれぞれの戦略でグランプリシリーズに挑んできます。
まずは220点越えを目標に、ひとつひとつの試合を大切に2月の平昌五輪2018に向けてシーズンを迎えてほしいです。
チャレンジャーシリーズ2017
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