世界初の4回転フィリップジャンプに成功、宇野昌磨選手の充実
2016/2017シーズンで一番成長した選手と言えば、宇野昌磨選手において他ならないでしょう。
シーズン初戦となるジャパンオープンで、世界初の4回転フィリップジャンプを着氷し、ギネス世界記録に認定されました。
勢いそのままにグランプリシリーズ初戦のスケートアメリカ大会では、
フリーでフリップジャンプをはじめ3度の4回転ジャンプに成功、見事に優勝を飾りました。
続くロステレコム杯では、当時世界王者スペインのハビエル・フェルナンデス選手に敗れたものの、
銀メダルを獲得し早々に2連連続となるファイナル進出を決めました。
グランプリファイナルではショートで苦しみ4位発進となりましたが、フリーでは自身のパーソナルベストを更新し、
2年連続の銅メダルを獲得しました。
宇野昌磨選手は小柄ながらも、そのスタミナ力にはいつも驚かされます。
試合が続いても持ち前の体力で乗り切りますし、何と言っても抜群の安定感を誇っています。
宇野昌磨選手唯一の弱点とも言えるのが「時差ボケ」です。
本人も時差調整が上手くいかなかったと口にしているように、時差には泣かされている様子です。
グランプリシリーズ初戦のアメリカ大会では、早めに現地に入ることによって時差調整をしましたが、
フランスで行われたファイナルでは時差調整が上手くいかずに、ショートで出遅れてしまいました。
海外各地で試合を行わなければならないフィギュアスケートの選手には時差問題はつきものです。
現役選手として戦っていくためには、クリアしなければならない問題ですが、今のところは早めに現地入りするという方法でクリアしています。
12月、今シーズンの全日本選手権はいつもと違う大会となりました。
なぜなら羽生結弦選手がインフルエンザのために欠場したからです。
羽生結弦選手のちない全日本選手権は、もちろん実力でいけば宇野昌磨選手の優勝でしょうが、
常に追う側だったものが、急に追われる側の立場となり思いがけずに大きなプレッシャーの中での戦いとなりました。
しかしショートの出遅れをフリーで見事に挽回し、全日本選手権初優勝を飾り世界選手権出場を獲得しました。
この追われる側の経験は今後の宇野昌磨選手にとっては、とても大きな経験になったことでしょう。
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今季2016/2017シーズンの宇野昌磨選手はとにかく多くの試合に出て、また多くの良成績を収めました。
年が明け、シーズン途中にもかかわらずアイスショーにも出演します。
2月は台湾で行われた四大陸選手権3位を皮切りに、札幌市で開催された冬季アジア大会優勝、
そしてルクセンブルクでのクープル・プランタン杯優勝と、ヘルシンキ世界選手権の前に3戦も行っているのです。
今季2016/2017シーズンの四大陸選手権は、来年の平昌オリンピックと同じ韓国の江陵と同じ会場だということもあり、多くの有力選手たち出場しました。
四大陸からは外れるヨーロッパ選手権王者であるハビエル・フェルナンデス選手が参加しなかった世界選手権みたいなものです。
そこで3位、そして残る2試合で優勝を飾っているのですから、その体力と安定感は世界一とも言えます。
世界選手権でも時差調整のため早めにに現地入りし、約10日間現地合宿を行いました。
その成果もありショートプログラムでは、全てのジャンプに成功と抜群の安定感を見せ付けました。
しかも、四大陸選手権で出した自己ベストを更に更新し、ショートフリーを合せたトータルスコアでも自己ベストを更新し銀メダルに輝きました。
来季の平昌オリンピックの出場枠をかけた世界選手権でしたが、終わってみれば羽生選手と1、2位で3枠を獲得したのです。
シーズン最終戦となる国別選手権でも、ショートフリーとも安定した演技を披露し、日本チームの優勝に大きく貢献しました。
宇野昌磨選手の強みはなんと言っても、抜群の安定感と勝負強さです。
たとえ直前の練習で失敗していても、本番ではきっちり決めることができる力を持っているのです。
昨シーズンの世界選手権後、宇野昌磨選手は「自分を追い込みすぎた」と語っていました。
それを経験に今シーズンは「楽しく滑ること」を自分に課してきたと話していたので、それは達成できたのではないでしょうか。
オリンピック出場枠のかかった世界選手権フリー、ショートで出遅れた羽生結弦選手のフリー演技を見て
「絶対勝てない自信があったから、自分は自分のできることをしようと思った」とインタビューで語っていました。
今季2016/2017シーズン、宇野昌磨選手が伸び伸びと滑るたびにスコアを更新していったのは、ひとつにこれまでの宇野昌磨選手の努力が実を結んだこと、大きな怪我なくシーズンを健康に過ごすことができたこと、そして偉大な先輩が目の前にいるということ、ではないかと感じています。
「今はとにかく試合が楽しくて、たくさんの試合に出たい」と話していましたが、この言葉に今の宇野昌磨選手の充実感を感じます。
今季は素晴らしい伸びしろで私たちを驚かせてくれた宇野昌磨選手、
来季2017/2018シーズンはまたどんな風に驚かせてくれるのか今からとても楽しみです。
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