毎年恒例・グランプリシリーズ2017初戦は2位発進

フィギュアスケートグランプリシリーズ20172017第1戦・ロステレコム杯が終わりました。

注目の羽生結弦選手は、フリーでは1位となるもショートでの出遅れが響き、総合で2位となりました。

毎シーズン恒例のグランプリシリーズ2017初戦2位発進ですが、今季特に悲壮感が感じられないのは、やはり4回転ルッツの存在が大きいからでしょう。

羽生結弦選手の4回転ルッツ跳びます宣言

モスクワ到着後の公式練習前日、取材陣を驚かせたのは練習での4回転ルッツ着氷でした。

羽生結弦選手自身、4種類目となる4回転ルッツは「今季の計画には入っている」と陣営から発表されてはいたものの、本人からの明確なコメントはないまま。

まずは右膝痛の回復具合が気になるところでしたが、練習後のインタビューで「フリーに4回転ルッツ入れる予定です」と本人自ら発表しました。

あまりにもさらりと断言した「4回転ルッツ投入」宣言は、日本のみならず海外でも大きな話題となりました。

ショート当日。

「4回転ルッツ」はちょっと置いておいて、「オータムクラシックに続き今回も最高得点の更新なるか!」が大きな注目となりました。

オータムでは回避した4回転ループを入れた構成ですので、前回のようにノーミスできれば記録更新も十分可能なスコアではあります。

しかし、2つのジャンプミスが出て2位スタート。

残念ではありますが、これでまた連続で世界記録を更新してしまったら、この絶好調ぶりが何やら不安になるというものです。

では、過去5年間の羽生結弦選手グランプリシリーズ初戦におけるショートプログラムのスコアを見てみましょう。

羽生結弦 ショートプログラムのスコア
  • 2012年 95.07点(当時の歴代最高得点)
  • 2013年 80.40点
  • 2014年 82.95点
  • 2015年 73.25点
  • 2016年 79.65点
  • 2017年 94.85点

今季は94.85点ですから、2012年の当時歴代最高得点からは1点差もない結果です。
というか、ショートで2本のジャンプミスがあってこの得点ですから、この5年間の進歩が凄いです!

グランプリ初戦恒例の「ジャンプの抜け」が無かったのは2012年以来ですから、今季は好スタートと言えます。

羽生結弦選手の4回転ルッツは、飛距離315cm、滞空時間0.781秒

4回転ルッツ初挑戦で初成功!

宣言通りに挑んだフリーの4回転ルッツは、堪えながらも着氷!
基礎点13.6点にGOE+1.4点の評価で、4回転ルッツを初成功させました!

1本のジャンプで14.74点をたたき出すのですから、すごい武器を手にしたことになります。

しかしその後は4回転ループが3回転に、後半の3連続コンビネーションなどでミスがあり2位にとどまりました。

ショートのミスがフリーでも響いたあたりは、4大陸選手権と同じパターンとなってしまいました。

羽生結弦 グランプリシリーズトータルスコア
  • 2012年 243.74点
  • 2013年 234.80点
  • 2014年 237.55点
  • 2015年 259.54点
  • 2016年 263.06点
  • 2017年 290.77点

今大会も決して本調子ではない状態で、4回転ルッツを着氷。

ひとつのミスが全てに響いてくる高難度のプログラムの中で、最小限にミスを抑えてオータムクラシックのように崩れなかったのは大きな収穫です。

4回転ルッツデータ

「4回転ルッツ跳ぶ宣言」には驚かされましたが、今季初戦のオータムクラシックのジャンプ構成を見て、4回転ルッツ投入を予測していたフュギュアスケートファンは多くいました。

オリンピックシーズンであろうが「手堅く行くことは羽生結弦じゃない!」といったところでしょうか。

早くも他選手との比較動画などもアップされ、その関心の高さが窺えます。
その動画からのデータによると、羽生結弦選手の4回転ジャンプは

羽生結弦選手の4回転ジャンプ

       高さ   幅  滞空時間
4回転ループ 48cm 130cm 0.666秒
4回転ルッツ 69cm 315cm 0.781秒

と、ループとルッツでは、こんなにジャンプの大きさが違うんですね。

これだけ高さ、飛距離に差があったら、確かにルッツの方が断然GOEが出やすいです。

ループに比べてルッツの方が跳ぶ選手が多いのは、基礎点の他にもこういった部分が理由なのかもしれません。

ちなみに羽生結弦選手が参考にしたというボーヤン・ジン選手の4回転ルッツは

ボーヤン・ジン選手の4回転ルッツ

高さ・65cm 幅・366cm 滞空時間・0.740秒 凄い飛距離!

4回転ルッツの利点

羽生結弦選手がグランプリ初戦の成績が思わしくないのは、それだけシーズンの序盤でこなせるプログラム構成ではないからです。

オリンピックシーズンにはリスクが高すぎるかもしれませんが、この4回転ルッツが入ることによって大きなメリットもあります。

4回転サルコウのリピート問題が解消されますし、4回転ジャンプ同様の得点源となる3回転アクセルを2本入れることができるからです。

4回転ルッツは得点的な意味だけでなく、フリーの「SEIMEI」を冒頭から盛り上げ、見ている者の意識を引き込む強い力を持っています。

特に羽生結弦選手は助走でほとんどためがなく、高速でリンクの端まで駆け抜け、スピードに乗って踏み切り跳び上がるので鮮烈です。

ジャンプが「SEIMEI」の芸術性を一段階上げてくれる、そんな印象を与える羽生結弦選手の4回転ルッツです。

ロシアからの愛

羽生結弦選手にとっては、5年ぶり3度目となったロステレコム杯ですが、その人気の高さは凄かったです。
海外からも多くのファンが詰めかけましたが、開催国ロシアファンも大いに盛り上がっていました。

何でも海外で1番早くファンクラブなるものが結成されたのがロシアだったとか。(羽生結弦選手に公式ファンクラブはありません)
羽生結弦選手がまだ14、15歳くらいからあったというので(その当時で400人ほど)驚きです。

さらに多くのフィギュアスケート関係者や、解説者のコメント、コーチ陣、選手たちからも、羽生結弦選手へのリスペクトが感じられました。

話題をさらったあの可愛らしいフラワースケーターもそのひとりです。

演技後大急ぎでプレゼントを回収するという役目をすっかり放棄して、羽生結弦選手を羨望の眼差しで追い続けていました。

記者団からそのことを問われ「プルシェンコみたいな金髪」と即座に返答した羽生結弦選手、生粋のプル様ファンです。

観客席からは「結弦!オリンピックシーズンの大勝利を」という、一文字ずづで掲げられた大きなプラカードがありました。
こちらを制作したのは、ロシアの羽生結弦選手のファンの方々です。

日本語を勉強し始めたという方を中心に、7月から準備を始めていたというのですから本当に嬉しいですね。
もちろん羽生結弦選手の目にも入っていて、その様子はフリー演技後のキスクラで映し出されていました。

カナダに練習拠点を移す以前は、ロシアで合宿を行っていたこともあり、ゆかりの方々も多く会場で観戦していました。

そんな中で披露したエキシナンバーは、タチアナ・タラソワさんから贈られた「ノッテステラータ」。

この上なく美しかったスワンは、心からの恩返しだったのではないでしょうか。

フィナーレ最後の集合写真で出遅れて、ピョンピョン跳ねながらカメラに収まろうとする羽生結弦選手をリフトしてくれた、イタリアペアのオンドレイ・ホタレック選手など、本当にたくさんの愛に囲まれた心に残る試合でした。

 

羽生結弦選手の次戦はNHK杯です。

今大会同様に高難度のプログラム構成で、しかも完璧を目指して挑んでくることでしょう。

オリンピックシーズンンであろうが、挑戦することを決してやめない羽生結弦選手。
選んだ道は間違っていないはずです!

信じて応援しましょう!

 

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