三原麻衣2017新プログラムは?シンデレラからの脱皮!

 

2016/2017シーズン、フィギュアスケート女子シングルは激動のシーズンでもありました。
これまで女子シングル界を牽引し続けてきた浅田真央さん、村上佳奈子さんの引退という大きな出来事があったからです。

平昌オリンピックを控えて世代交代の波が訪れたのです。
そんな中で三原舞依選手という新星も現れました。

三原麻衣2017新プログラムは?シンデレラからの脱皮!

三原舞依選手は2015/2016シーズン、ジュニアの大会で好成績を残しながらも、若年性特発性関節炎(若年性リウマチ)という難病を発症し、競技から離れることを余技なくされました。
その後、治療を続けながらも2016/2017シーズンにシニアデビューすると、病気を感じさせないスケートで好成績を収めていきます。

12月に行われた全日本選手権では3位に入り、四大陸選手権では見事優勝、宮原知子選手の故障による欠場で平昌オリンピック出場枠をかけた世界選手権では、大きな重責を背負いながら出場2枠獲得に大きく貢献しました。

安定した実力と強い精神力で、一躍エース候補に躍り出たのです。

そんな三原舞依選手の2017/2018シーズンの新プログラムは、ショートプログラム「リベルタンゴ」振付ブノワ・リショーさん。

フリープログラム「映画『ミッション』よりガブリエルのオーボエ」振付デビッド・ウィルソンさんとなっています。

2016/2017シーズン、シニアデビューの年に選んだ曲「シンデレラ」で、まさにシンデレラストーリーを歩んだ三原舞依選手でしたが、シーズン後には「もっとシニアで通用するプレゼンテーションを磨きたい」と何度も語っていました。

4月に行われた国別対抗戦では、その高い技術力で基礎点では世界女王のメドベージェワ選手をも上回っていた三原舞依選手。

3アクセルを除く全ての3回転ジャンプに加え、コンビネーションジャンプのバリエーションも多く、海外でも「女王メドベージェワに挑戦できる選手」として高い評価を得ています。
しかしプレゼーテーションを伸ばすためには、これまで以上に表現力の強化が必要となってきます。
そこで重要となってくるのがプログラムの選曲と振付けです。

三原麻衣2017新プログラムは?シンデレラからの脱皮!

シニア1年目に使用した「シンデレラ」は、病気によってスケートをすることができなかった三原舞依選手に、苦難を乗り越えて明るく楽しく滑る喜びを感じてほしいと、中野園子コーチが願いを込めたものです。(振付師:佐藤有香さん)

オリンピックイヤーには、前年のプログラムを持ち越したり、以前のプログラムを使用する傾向が強くあります。
自分にとって最もベストな曲を選択しオリンピックに挑む、言わば「勝負曲」で臨むわけです。
三原舞依選手はシーズン終了後早々に、「大人の表現を見せてトップと戦えるようにしたい」とショート、フリープログラムの変更の理由を語っています。

そこで選んだ新プログラム、ショートにはタンゴを持ってきました。
もともとタンゴはフィギュアスケートでは多く使用されている曲です。
踊りながら演じるという部分で、比較的表現しやすい分野の曲なのかもしれません。
だからと言って、上辺だけのもので演じきれるものでは決してありません。

特に女子の場合は妖艶な雰囲気を出そうと無理をしすぎるとプログラム全体を壊しかねないからです。

三原麻衣2017新プログラムは?シンデレラからの脱皮!

新プログラムのタンゴの振付けは、フランス人のブノワ・リショーさん。
2009年まではフランスのジュニアのアイスダンサーでしたが、シニアには進まずに引退後振付師に転向しています。

まだ29歳の若さですが新進気鋭の若手振付師として、すでにヨーローッパでは高い評価を得て注目度を上げています。

代表的な振付け作品としては、デニス・ヴァシリエフス選手(ラトビア)2015/2016・ショート「踊るリッツのよる」、フリー「トロンのためのアダージョ」。
この2つのプログラムでヴァシリエフス選手は、リレハンメルユース五輪で銀メダルを獲得しました。

他には日本でも人気の高いスケーター、ロシアのエリザベータ・トゥクタミシュワ選手、2015/2016・ショート「カルミナ・ブラーナ」。
トゥクタミシュワ選手の持つ妖艶な雰囲気と力強いスケーティングがマッチした素晴らしいプログラムでした。

 

リショーさんの振付けは、選手個人の持ち味を生かして伸ばすというよりは、振付師自身の個性が勝っているような、そういった声も少なからず聞かれます。

ハマれば化ける可能性大ですが、反対に選手に合わなければプログラムに負けてしまう、そんな両極端な面を持ち合わせているのかもしれません。

引退を表明したアメリカのジェレミー・アポットさんは、リショーさんの振り付けでショー用プログラムを使用した際に「僕の人生におけるどの振付けよりも精神的、肉体的、感情的なチャレンジだった」と語っています。
だからこそ三原舞依選手が新プログラムのタンゴに、リショーさんの振り付けを依頼した理由が何となくわかる気がしてきます。

自分の可能性を広げるためあえて勝負に出た、ということではないでしょうか。
7月の初めアイスショーで「リベルタンゴ」を初披露した際、これまでのシンデレラのような可憐な雰囲気から何か確実に変化が起こっているように感じました。

元アイスダンサーであるリショーさんの振り付けを滑りこなすには、ステップワークなどそれ相応の技術が必要ですが、三原舞依選手であれば心配はないでしょう。

三原麻衣2017新プログラムは?シンデレラからの脱皮!

フリーの新プログラムは「トロンのためのアダージョ」、振付は羽生結弦選手ソチ五輪の振付けでも有名なデビッド・ウィルソンさんです。

バンクーバーのキム・ヨナ選手、ソチの羽生結弦選手と、オリンピック2連覇中と実力ともに世界でも人気の振付師です。

ウィルソンさんはリショーさんとは反対に、その選手の個性を引き出すことに長けた振付師です。
どういったプログラムなのかはまだ詳細はわかりませんが、三原舞依選手の持つ気品や強さを上手く引き出してくれると期待しています。

2017/2018シーズンの初戦は 、9/20~9/23日にカナダで開催されるオータムクラシックが予定されています。
オリンピックへの出場枠は2枠、この2枚の切符を巡って国内でも熾烈な戦いが予想されます。

しかし大きなプレッシャーと戦いながら自分の力で獲得したオリンピック出場枠です。

未だ治療を続けながらオリンピックを目指して頑張っている三原舞依選手に、出来る事なら出場してほしいと思いますが、まずはそれまで怪我なく健康にシーズンを迎えられることを祈っています。