宮原知子の全日本選手権2017

平昌五輪出場をかけた狭き門

宮原知子選手は今年1月、左股関節の疲労骨折と診断され、シーズン後半の全試合を欠場。オリンピック代表獲得枠のかかる、世界選手権大会にも出場することができませんでした。

 

ナショナルチャンピオンである宮原知子選手が出場できない状況の中、日本女子が獲得したのは2枠。その狭き門に平昌五輪出場をかけて、宮原知子選手が全日本選手権2017に挑もうとしています。

 

順調だったはずが大きな誤算

グランプリシリーズNHK杯5位、スケートアメリカ1位、ファイナル5位となった宮原知子選手の怪我明けシーズン。一見順調そうに思われますが、ここまで辿り着くまでは実に大変な道のりでした。

 

大きな誤算となったのは、7月下旬に出場したアイスショーでした。順調に回復を見せていた矢先に転倒し左足首を捻挫。さらに左股関節に痛みが生じたため、再びリハビリを余儀なくされたのです。

 

そのため今シーズン初戦に予定していた10月初旬のフィンランディア杯は回避。ぶっつけでブランプリシリーズに臨むという、宮原知子選手はフィギュアスケート全日本選手権2017から逆算した復帰計画を練り直すこととなったのです。

宮原知子 全日本選手権2017 SP動画

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SP 73.23

復帰戦出場は開幕直前に決断

復帰戦がNHK杯というプレッシャーのある舞台について濱田美栄コーチは「この試合に出すか出すまいか、すごく迷った」と語っています。出場を決断したのはNHK杯開幕のまさに直前のことでした。

 

裏を返せばそれほど宮原知子選手の仕上がりに不安があったということです。しかし2戦目となるアメリカ大会では、試合に入るにつれて調子が上がっていき「集中できた、自信を持ってやれた」と優勝とともに、宮原知子選手も全日本選手権2017に手応えを掴んだ様子でした。

 

価値ある5位 調整不足の影響

グランプリファイナルでは、総合213.49点ながら5位という結果でしたが、やはり急遽出場となった調整不足の影響は否めません。宮原知子選手の「試合勘を取り戻したい」という意思で出場を決めたものの、実はかなり疲労がたまっていた様子です。

 

アメリカ大会後はそのまま北米に残りポログラムのプラッシュアップを行い、その間は練習量を減らし「食べさせて寝かせて、40キロを切らないように必死だった」と濱田美栄コーチも語っています。

 

予定を変えなかったとこで日本に帰国したのは大会4日前。逆に調整していない中での210点超えは価値があると言えるでしょう。5位ながら演技構成点では全体の3位。

 

スケーティングスキル、振付、音楽の解釈では何れも9点台と高得点をマークしています。
ジャンプでは回転不足も取られましたが、その結果にも「ここで悔しい思いをできてよかった」と、宮原知子選手はフィギュアスケート全日本選手権2017に向け前向きに捉えていました。

 

プログラムの見どころ

今季の宮原知子選手は、リハビリ中に振り付けなど演技力向上に力を入れた成果から、演技構成点が昨季に比べてアップしています。

 

ショートの「SAYURI」では、日本女性の持つしとやかさというより、きりっとした美しさというか、ちょっと侍のような強さを感じさせます。フリーの「蝶々夫人」は有名なオペラでありながら、ボーカル一切無しの編曲で、一番の見どころとも言える「ある晴れた日に」もごく一部のみと、なかなかチャレンジングな構成となっています。

しかしそれがこれまで多くのスケーターが演じてきた「蝶々夫人」とは異なり、逆にそれが新鮮で緩急が際立ちよりドラマチックに映ります。そんなプログラムにも目を向けて、宮原知子選手のフィギュアスケート全日本選手権2017に注目したいです。

 

宮原知子選手はシニアデビュー年のソチ五輪代表選考となった全日本選手権では4位となり、惜しくもオリンピック出場はなりませんでした。しかしそれから4年の年月を経て、今は紛れもなく代表候補の中心選手へと成長しています。

 

怪我を乗り越え苦い経験をバネに、今度こそオリンピック代表を手にするため、宮原知子選手がフィギュアスケート全日本選手権2017の戦いに挑みます!