フィギュアスケート│ジュニア男子日本。2017/2018
フィギュアスケート男子ジュニアの面白さと真4回転時代の到来

2016/17シーズン、フィギュアスケート男子シングルの進化はとどまることを知らず「真4回転時代」を迎えました。
この流れを牽引してきたのは、紛れもなく羽生結弦選手ではありますが、今シーズンにシニアへ参戦したアメリカのネイサン・チェン選手も新時代の幕開けには欠かせない存在のひとりです。

フィギュアスケート│ジュニア男子日本。2017/2018

難易度の高い4回転ジャンプを武器に、今シーズンにシニア参戦したネイサン選手ですが、四大陸選手権では羽生選手を抑えて優勝、金メダルを獲得しています。
もちろん来シーズン平昌オリンピックの金メダル候補の有力なひとりでもあります。

ネイサン選手がシニア1年目からこのように活躍ができた理由のひとつとして、ジュニア時代からシニアと変わらないレベルの技術を身に付けていたことがあげられます。
そしてそれは今シーズンのジュニア選手たちにも共通していることでもあるのです。

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フィギュアスケート│ジュニア女子日本。2017/2018

フィギュアスケート│ジュニア男子日本。2017/2018

ジュニア世界選手権男子シングルで優勝したアメリカのヴィンセント・ゾウ選手は、フリーで難易度の高い4回転ルッツをクリーンに決めています。

4回転ルッツ、4回転トウループ・3回転トウループのコンビネーションジャンプ、4回転サルコウと、フリーで3本の4回転ジャンプを跳び成功、ノーミスの演技で自身のパーソナルベストを大きく更新しました。

2位ロシアのドミトリー・アリエフ選手は、手は付いたものの4回転トウループ、3位も同じくロシアのアレクサンドル・サマリン選手も、4回転トウループ・3回転トウループのコンビネーションジャンプ、4回転トウループの4回転ジャンプ2本のプログラム構成で挑みました。

ちなみに上位6位までの選手を見ると、4回転ジャンプ3本が2人、2本が2人、1本が2人、とシニア選手トップレベルの選手と変わらないジャンプ構成で臨んでいるのです。

もちろんこれはあくまでのジャンプのみの話であって、シニアに上がると演技時間も長くなりますし、ステップやら何やらの要素も多くなるので、一概にシニアのトップレベルとは言い切れませんが、ジャンプのみで言えばシニアとジュニアで大きな差は感じられません。

フィギュアスケート│ジュニア男子日本。2017/2018

日本からは友野一希選手と島田高志郎選手が出場し、9位と14位となり来シーズン世界選手権出場2枠を確保してくれました。

友野選手は4回転トウループで手を付いたものの、本人初めてとなる3連続ジャンプを決めてショートから巻き返しての9位。

島田高志郎選手は腰痛を抱えながらの出場でしたが、4回転ジャンプを跳ばない島田高志郎選手が、トップクラスが4回転ジャンプ大会になる中でのフリーで9位は立派な成績です。

今シーズンのジュニア上位の選手は来シーズンはシニア参戦し、オリンピックを目指すのではないかと予想されます。

女子の本田真凜選手と坂本香織選手が2位、3位の成績だったので、ちょっとさびしい気もしますが、女子に比べて男子の層が薄いわけではないと感じています。

フィギュアスケート│ジュニア男子日本。2017/2018

全日本ジュニアチャンピオンの友野一希選手は来シーズン、シニアに参戦する予定です。

同大会で2位となった島田高志郎選手、ジュニアグランプリシリーズブラオエン・シュベルター杯で銅メダルを獲得した須本光希選手、無良崇人選手と同じく無良コーチのもとで急成長中の木科雄登選手、三宅星南選手は氷上で華を感じさせてくれる存在と、男子もなかなかの個性派揃いです。

そして今季からジュニアに昇格た壺井達也選手は、今最も勢いのある選手のひとりです。
なんと言っても昨年の夏までダブルアクセルジャンプも跳べなかったにもかかわらず、今ではトリプルのコンビネーションジャンプをきれいに決めています。

壺井達也選手の急成長の理由としてあげらるのが、同じクラブの佐々木晴也選手です。
切磋琢磨できる良いライバルが身近にいるということが、お互いプラスに働いているようです。

壺井達也選手 クープド・プランタン 2017年3月10日 動画

真4回転時代をむかえ熾烈な戦いを繰り広げている男子シングルの波は、確実にジュニアの世界にも広がっています。

昨シーズン足首の骨折で世界選手権を欠場した山本草太選手は、今シーズンからシニアに移行の予定でしたが、疲労骨折などが重なり全ての試合を見送りました。

難しい技を習得するには怪我というリスクはつきものですが、怪我無くと願わずにはいられません。

フィギュアスケート│ジュニア男子日本。2017/2018

ジュニア選手の試合を見ていて楽しいのは、その成長の過程を目にすることができるからです。

前シーズン子供のようだった少年が少しずつ大人っぽくなって、新しい技ができるようになって、そして個性が確立していくのを見ることは本当に楽しいものです。

フィギュアスケート選手の寿命は、他のスポーツ選手と比べても決して長いものは言えません。

だからこそ選手たちには、悔いのない選手生活を送ってほしいと強く思ってしまいます。
2017/18平昌オリンピック後には、採点方法の改定が予定されており、そこにはジャンプの回数制限も含まれているようです。

新しい採点方法によってスケートが変化するのか、それとも新たな進化を遂げるのか。
世界に羽ばたいていくジュニアの選手たちを応援しながら、これからもフィギュアスケートの進化を見届けていきたいと思います。

 

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