羽生結弦選手「ぜんそく」についてのエピソード。24時間テレビ

毎年8月に放送される日本テレビ系の長寿チャリティ番組と言えば、みなさんご存知ですよね。
今夏のテーマは「24時間テレビ40告白〜勇気を出して伝えよう〜」ですが、

今年も羽生結弦結弦選手の出演が発表されました。

羽生結弦選手「ぜんそく」についてのエピソード。24時間テレビ

羽生結弦選手はこの番組に、ソチ五輪後の2014年から毎年連続で出演しています。
発表された放送内容によると、2歳の時に小児ぜんそくと診断された羽生結弦選手が、同じぜんそくの少年にスケートを指導。

少年をはじめ病気に負けずに頑張っている子供たちに、一緒にがんばろうとエールを送りアイスショーを開催するというものです。

この記事を読んで、または事前番組を見てちょっと「はっ」と感じたファンの方、多いのではないでしょうか?

というのも、これまでぜんそくに関して、羽生結弦選手の発言が非常に少なかったからです。
しかし本人が語らずとも、これまで様々な媒体で羽生結弦選手がぜんそくであることは語られてきました。
が、それは本人の言葉とはちょっと異なる形のものであって、あくまで外部からの情報でしかありませんでした。

それが今回、羽生結弦選手自らぜんそくについて語るのですから、これはファンのみならず、同じぜんそくに苦しみ、悩んでいる方々やそのご家族にとっても貴重な経験になるのではないでしょうか。

過去に羽生結弦選手のぜんそくについてのエピソードをいくつがご紹介します。

長野五輪スピードスケート金メダリストの清水宏保さんは、羽生結弦選手が子供の頃にサインを求められたことがありました。

清水さん自身もぜんそくで、スケートを始めたのもぜんそくを治すためでした。

その時、一緒にいた羽生結弦選手の母親から、ぜんそくでありながら金メダリストとなった清水さんに、「このままフィギュアスケートを続けても大丈夫でしょうか?」と問われます。

清水さんは、「肺が弱い分ハードな練習を続けなければならないが、それを乗り越えば人より練習した分、世界を相手に戦えるようになる」とアドバイスしたと話しています。

その後、清水さんが羽生結弦選手と再会するのはソチ五輪で金メダリストとなった後です。

このエピソードはコラム記事、またはテレビなどでも何度か話しているので、同じぜんそくを患うアスリートとして、羽生結弦選手のことを気にかけてくれているのでしょうね。

羽生結弦選手「ぜんそく」についてのエピソード。24時間テレビ

フィギュアスケート解説でもお馴染みの佐野稔氏もぜんそくで、以前解説の仕事で海外を訪れた際に、飛行機の中でぜんそくの症状が出てしまいました。

到着してすぐに病院を探そうとした時、同じホテルに宿泊していた羽生結弦選手から吸入器をもらい事なきを得たと話しています。

羽生結弦選手のことを「命の恩人」と言っていましたが、ぜんそくという病気からもこの言葉が大げさな、ましてや決して冗談などではないことがわかりますよね。

羽生結弦選手本人も今から数年前、ソチ五輪後の2014年、新聞社主催のイベントの子ども達に向けたビデオメッセージの中で、自身のぜんそくについて触れています。

「ぜんそくは傍から見たら、ぜんそくがあるから体力はつかないし、つきにくいし、スタミナを維持しにくいと考えられる。でも、それだけで終わるのではなく、だったらその辛さと戦える強さをもらえると思う、精神的なものだとか・・・。いつかそういう風に、いつか多分考えられる日が来ると思う」と話し、「負けず嫌いであれ」と語りかけています。

先にご紹介した清水さんも羽生結弦選手も「ぜんそくがあったからこそ金メダルが獲れた」と、決してマイナスととらえない人達です。

だからこそ金メダリストになったのだと、改めて思い知らされるエピソードですね。

羽生結弦選手がシニアに転向した当初、フリー演技後にはいつもリンクに倒れ込んでいました。
まるで急に骨が無くなってしまったかのように、自分で自分の体を支えることができずに、しばらくうずくまっていた姿を覚えている方も多いのではないでしょうか。

立ち上がることができるまで、羽生結弦選手はいつもちょっとの時間を必要としました。
テレビの画面からも荒い息遣いが聞こえてくるようで、必死に息を吸い込もうと喘いでいる姿はとても痛々しく見えました。

男子選手にしてはきゃしゃで細身の体つきからも、単純にスタミナ不足だと思われましたがそうではなかったのです。

今では体力もつき、演技後にリンクに倒れ込む姿を目にすることは無くなりましたが、もちろん治療や努力を怠ることなく続けているからでしょう。

羽生結弦選手「ぜんそく」についてのエピソード。24時間テレビ

羽生結弦選手の演技について、日本のみならず海外でもよく「繊細」という言葉が使われます。
いつも魂を削るかのような、どこかぎりぎりな感じのする演技は、他のどの選手も真似することのできないものです。

この繊細さの根っこの部分には、持病の影響が少なからずあるのではないでしょうか。
羽生結弦選手は、他の選手に比べて圧倒的に練習時間が短い選手としても知られています。

単純に練習嫌いだとかそういったことではなく、やはりアスリートとしてはハンデとも言えるぜんそくが関係しているのでしょうね。

強気な発言が多い羽生結弦選手ですが、そこにはいつも言い訳を許さずに、あえて自分自身を追い込もうという姿勢が見られます。

これまでぜんそくについて多くを語ってこなかったのは、ぜんそくを言い訳にしたくないという気持ちの表れでしょう。

それがなぜ今になって自らぜんそくについて語ろうと思ったのか。
単にテレビの企画だけではない何か理由があるはずです。

ソチ五輪後、羽生結弦選手の人気は凄まじいものがあります。

本人もその影響力の強さに戸惑うこと、または人気と引きかえに失ったものもあるでしょうが、そんな羽生結弦選手だからこそ、羽生結弦選手にしかできないことがたくさんあるはずです。

ぜんそくについて語ることもそのひとつであり、
現役アスリートで金メダリストである羽生結弦選手が発信することで、何かしらの変化を期待することもできます。

羽生結弦選手「ぜんそく」についてのエピソード。24時間テレビ

これまで同じ病気でスポーツを諦めていた人たちが、
もっと積極的にスポーツに取り組むようになったり、ぜんそくという病への理解が深まる機会となる可能性もあるのです。

羽生結弦選手は自分の役割というものを強く意識し、また自覚している人だと発言や行動からも窺い知ることができます。

今回の番組は、同じぜんそくの少年をはじめ病気の子供たちに一緒にがんばろうとエールを送るものです。

病気はある意味戦いでもあります。

がんばって戦わなければ病気に負けてしまいます。

今年は羽生結弦選手にとっては特別な年、オリンピックイヤーです。

そんな大切な時期に持病のぜんそくを語ることは、羽生結弦選手にとっても勇気のいることです。そんな自分の姿を通じて少しでも人々に勇気や希望を与えてくれようとしているのです。

9月にはシーズン初戦の試合が始まります。
過酷なオリンピックシーズンを戦う羽生結弦選手の活躍を精一杯応援していきたいですね。

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